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希望の国のエクソダス

2007.03.04.Sun.14:35
 流石に一週間に筆記試験3回もあると脳が否応にも活性化されますw 一番手ごたえあったのは昨日の出版社のかなぁ。ってか試験開始前までのモチベーションが一番良かった。何せ試験会場が五反田TOC。つまり自宅から徒歩10分弱。まさか近所で試験やるとは思いませんでしたよ。おかげでぎりぎりまで家でリラックスしてから臨めました。(´∀`)


 さてさて就活の話題はこんなトコで、今日は久々に小説の紹介。けっこう前に読み終わったヤツですけど。バイトの先輩に頂いた小説です。






村上 龍 / 文藝春秋(2002/05)
Amazonランキング:22348位
Amazonおすすめ度:





 「希望の国のエクソダス」

 舞台は2002年秋…日本では経済の大停滞が続き80万人の中学生が学校を捨てた。彼らはネットビジネスを開始し、情報戦略を駆使して日本の政界・経済界に影響を与えるほどの一大勢力に成長していく。そして彼らのエクソダス(脱出)が始まった…。


 とまぁ小説の中では現代の日本をも少しダメにした感じ。というよりは村上氏にとってはコレが日本の未来像なのかもしれない。とにかく村上氏は本書の中でコレでもかってほどに日本を風刺している。エネルギー(活力)を失っていく大人、「そのうち何とかなるだろう」社会の人々は流れに身を任せ日々を生きている。そこに突然、彼らの理解の範疇を超えた「中学生」の集団が現れた。

 彼らは学校という場所に何の存在意義も将来性も見出せずに、自分たちの手で戦いを始める。そんな彼らの武器はネット。日本中の中学生はネットワークを駆使して団結し、いつしか日本社会に対抗できるほどの力を得る。そのような権力を持った集団、それも常識的に考えれば未成熟といえる10代半ばの集まりが何故瓦解しないのか。ネットでの結束には確固たる上下関係が存在しない。何となくそれぞれがやりたいコトをやろうとして集まっただけ、本書に登場する中学生集団にも代表と呼ばれる「ポンちゃん」という少年がいます。けどポンちゃんはただ他の中学生よりネットワーク分野関連の知識に少し明るかっただけで、組織的設計的にできたわけじゃないからリーダーと呼べる人間はいないのです。

 ちょっと捉え方を変えるとSNSみたいなもんなんですかね。アレだって同じ趣味を共有したい人が集まってるに過ぎず、コミュニティを形成する言いだしっぺこそ存在するものの別にその人が確固たるリーダーというわけではありません。組織的設計的にできたわけではない…物語中の大人たちにはそういった集団は社会通念上とても理解し難く、だからこそ中学生たちに恐怖の念を抱いていたのかもしれません。


 村上氏はこの本を執筆するにあたって、とにかく経済や政治その他諸々について入念に取材をしたみたいです。でなければココまで専門的な用語の飛び交う日常会話は作り出せません(笑)読む人にとっては、ただ単に村上氏の知識のひけらかしと評価する人もいるかもしれませんね。だって確かに話が難しいんだもん。しかしそこまで入念な取材をしてまでも描きかったもの…個人的には物語の後半に用意されている中学生による国会での答弁がそれだと思います。そしてそれに付随する形でニュース番組でゲストとして招かれる中学生たちと大人との会話、これらがこの本の書きたかった…これから日本が歩むかもしれない未来の一つの可能性、そんな風に感じました。


 フリーの記者がこの物語の中心にいます。彼は比較的早い段階で中学生たちと直に接触する機会を持ちます。しかしだからといって彼が中学生たちの活動に巻き込まれて、自らも次第に注目を浴びるようになるわけではありません。彼だけが中学生たちにかなり近い距離でコミュニケーションを取れて、そしてそれを元にした記事を雑誌に載せるコトができた。が、別にそれが話題になるほど売れたわけでもなく物語りでもわずか就十ページの出来事だった。彼でさえ、その流れをただただ傍観するだけ。彼も結局は大人で―その中でも比較的中学生たちの立場を理解でき、中学生たちも彼に対して好意的にあるものの―中学生たちの振る舞いを完全に理解するコトはできず、いつしかどんどん日本の中で肥大化していく彼らの存在に恐怖を感じていた。PCというツールを得、それを用いて可能となる現実を何の抵抗も無く実現させる彼らに。


 どこかでコレが絵空事だと感じてしまっている以上、俺も結局は大人側の人間としてカテゴライズされてしまいます。




   「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」



 本書でのこの言葉こそ日本という国を一番簡潔に表現していると思います。さてと、溜まってるESでも書くか…。







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